関わり合いのパターンの見つけ方

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面談をしていると、どうしても話されている内容に注目してしまいます。
もちろん内容は重要ですが、もう一つ注目しなければならないことがあります。

家族は一つのシステムです。
体内の細胞同士が影響し合って、一人の人間の生命を維持しているシステムであるように、家族も影響し合って、一つの家族を作っているシステムと見ることができます。

システムとは、関係性です。
関係性とは、互い同士の関わり合い方です。
家族がどのような関わり合い方をしているのかが、大切なポイントとなってきます。

面談でも、家族がどう関わり合っているかに注目します。

なぜ、家族との面談で、関わり合い方にも注目するのでしょう?

家族は、家族として日常を過ごしている中で、ときとして子どもたちが困難にぶつかることがあります。
決して、家族は、子どもたちに困難なことを起こそうと思って、生活をしているわけではありません。
ただ、日常を繰り返していただけです。

子どもの症状は、家族の関わり合い方の中に、何かしらの不都合を子どもが感じて、家族を代表して出しているサインともとれます。

よく勘違いしてしまうのが、家族の関わり合い方が悪循環になっていたから、子どもたちの症状が出たという考え方です。
家族の関わり合い方に悪循環も良循環もありません。
先ほども書きましたが、ただ、影響し合いながら、日常生活を送っていただけのことです。

互いに影響し合いながら、日常を送っていた中から子どもたちに困難なことが起こったのなら、できることは、その日常の関わり合い方を少し変化させてみることです。

日常の関わり合い方は、話されている内容の中にはありません。

どうしたらわかるのでしょう?

たとえば、ご両親との面談場面を録画したとします。
再生のときに、音量をOFFにして見てみると、家族の関わり合い方が見えてきます。

面談場面に誰から入ってくるか?
誰から座るのか?
誰が主に話しているか?
誰かが話しているときに、他の家族はどう反応しているか?
誰が発言した後に誰が発言するか?

こんな観点で面談場面を見ると、
・夫婦間で決定する力を持つのは誰か? 
・夫婦間のパートナー度はどうか? 
・キーパーソンは誰か?
・誰が話したあとに、誰が話すか?
・誰かが話しているときの、他の家族の態度はどうか? 
などが見えて来たり、予想することができます。

たとえ、お母さんだけ(お父さんだけ)と面談することになっても、関わり合い方がわかるような質問をすることで、関わり合い方を知ることができます。

・どんな状況で、
・何が起きて、
・そのとき、家族の誰が反応して、
・その反応した家族に誰が反応するのか・・・

このようにグルグルと質問して行きます(円環的質問)。
そのことによって、行動レベルで、家族がどのように関わっているのが見えてきます。
つまり、家族の関わり合い方のパターンが見えてくるのです。

行動レベルで見えてくるということは、大切なことです。
なぜなら、変化とは、行動が変わったときに変化したと捉えるからです。

パターンが見えてくると、問題の納まり方も見えてきます。
どんな問題も24時間365日続いていることはありません。
パターンの最後には納まっています。
そのパターンが繰り返されているので、問題が固定化されてしまうのです。

解決のヒントの一つは、問題を固定化しているパターンを崩してみるということです。
たとえば、最後の納まり方を一番最初に持ってくるということも、パターンを崩すことの一つです。

それは、話しの内容に注目するということになるのではないですか?と思うかもしれませんが、意図的に欲しい情報を話してもらうというところで、ただ相手が話したがっている事に注目するのとは違います。

どうしても、感情部分の話しになると、そのことに注目しがちになります。
しかし、変化のために大切なのは感情ではなく、関わり合い方です。
正確に言うと、感情は共感して受け止めても、変化をさせるのは関わり合い方だということです。

感情を変化させるのは至難の技です。
ですが、関わり合い方は変化させることができます。

私たちは日常生活の中で、話しの内容に注目しても、話している者同志の関わり合い方に注目するということは滅多にありません。
そうする必要がないからです。

ですから、話しながら、関わり合い方に注目するということには、練習が必要です。
しかし、これもスキルですので、意識してやることで身に付いて行きます。

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