問題は何?の事例
とても真面目で、努力を惜しまない子どもがいました。
しかし、なかなか結果がついていきませんでした。
その子が、だんだんと教室に入れなくなりました。
担任は、教室でない別の部屋で、一緒に勉強することにしました。
遅れ気味の勉強をなおさら遅れさせてはいけないと、時間を見つけては一生懸命に教えていました。
しかし、そのうちついに学校に来られなくなってしまいました。
お母さんと一緒なら勉強できるということで、お母さんが一緒に来て勉強していました。
しかし、それでも、2時間以上学校にいることができませんでした。
支援会議が開かれました。
支援会議での、私の最初の質問はいつも決まっています。
私:「問題は何ですか?」
担任:「教室でみんなと一緒の勉強ではないので、なおさら勉強が遅れてしまいます。あの子はもっと力を持っていると思います。私はあの子の力をもっと引き出してあげたいんです。」
たしかに、勉強の遅れが不登校という状態を生むことはあります。
担任は最初、それが原因だと思い、時間をみつけては一生懸命に個別指導をしていたのです。
しかし、教室へ入る事ができないという状況は変わりませんでした。
私:「今、一番困っていることは勉強の遅れですか? それとも、お母さんと一緒でも2時間しか学校に居られないことですか?」
担任:「そうですね。一番困っているのは、お母さんと一緒でも2時間しか学校に居られないことです。」
最初の問題は、勉強の遅れだったのだと思います。
それが、教室へ入れないことに変わり、今はお母さんと一緒でも2時間しか学校に居られないということに変わりました。
『問題は何か?』という視点は、問題解決のための最も基本的な視点です。
問題は何か?という視点がないと、問題の変化に気づかず、問題が変わっているのに、前の問題の解決方法が繰り返されているという状況が生まれます。
今、最優先の問題は何かを職員間で共通認知するだけで、問題解決の速度はグンと上がって行きます。
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