家族との協働支援はなぜ有効なのか

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子どもが不登校などの困難を抱えたとき、たいていは「原因」を探そうとします。
「原因」があるから「結果」がある・・ 私たちは多くの事をそのように習ってきましたし、その理論は多くの事に当てはまります。

しかし、この「原因→結果」の因果律で不登校の原因を探していくと、いつの間にか誰に原因があったかを探している事になってしまいます。
要するに悪者探しをしてしまうのです。

そうなると、その原因となっている人が変化しない限り、解決しないという事になります。
過去と人は変えられない・・ このことは十分に知っているはずなのに、原因となっている人を変えようとするのです。
ここで人を変えるという事の困難さにぶつかります。

また、原因探しをすると、子育てに自信を失いかけている保護者の方の自信喪失をさらに加速させてしまうという事が起きます。

自信をなくしてしまった人が、「ようしこれから解決に向かってがんばるぞ〜」と思えるでしょうか?
問題の解決には、エネルギー=元気が必要です。

このように「原因→結果」の因果律で子どもたちの困難さを解決しようとすると、そこには大きな壁が立ちはだかっている事がわかります。

では、「原因→結果」の因果律のかわりに、どのように子どもたちの困難の解決を考えていったら良いのでしょう?

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龍谷大学文学部教授 吉川悟(臨床心理士)資料より

お父さんが深酒をする→酔っぱらいが嫌で子どもが泣きわめく→お母さんがイライラする→お母さんがイライラしているからお父さんが深酒をする→酔っぱらいが嫌で子どもが・・・

この図のように、家族の中で起きる事は、原因と結果がグルグルと回っていて、誰もが原因で誰もが結果になっています。
逆に言えば、誰が原因で誰が結果なのかと決める事ができません。

家族とは、このように誰かの原因が誰かの結果になっているという、お互いに強く影響し合っている一つのシステムと考えられます。

一つのシステムとして、家族はお互いに濃密に影響し合っていますので、家族の一人に変化が起きれば、家族の関係性に変化が起きていきます。
たとえば、子どもに一番影響力のあるお母さんが元気になれば、子どもも元気になっていくのです。

ですので、システムとして子どもに強い影響力を持つ家族と一緒に子どもを支援していく事が、子どもを困らせている問題の解決には、とても有効です。

※ 原因は探さないと書きましたが、不登校などの場合は、まずはいじめがないか、勉強がわからなくなっていないか、教室で孤立していないかなどの学校環境の原因は探ります。
探ってみても、学校環境での原因が見つからなかった場合として書いています。

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コメント

  • システムとは

    読んでいて良くわかるのですが、家族というシステムは、子供も重要な一部であり、家族というシステムの一部に変化が起きると、循環連鎖の中で変化が起きると言うことなのですよね。同じように見えるけど、少しずつ変化成長していく家族システムなのかね?家族の人が変わると言うよりは、家族の誰かの行動が変わると言う方がしっくりきそうな気がします。


  • Re: システムとは

    >>1 コメント、ありがとうございます。
    「家族の人が変わると言うよりは、家族の誰かの行動が変わると言う方がしっくりきそうな気がします。」・・その通りです。実際の支援になると、行動に少し変化が起きるように支援します。あるいは、行動が変わらなくても、事実への認知が変わるように支援する事も多いです。そのことを含めて、人が変わると表現させていただきました。
    後日、変化とは?ということで、また、その辺を書きたいと思っています。



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